2015年12月14日
マイナンバー制度が導入された理由
マイナンバー制度とは,住民票を有する全国民に12桁の「個人番号」(マイナンバー)を付与するという制度です。
縦割りの行政に横断的に用いられる番号を用いることで,
①「行政の効率化」を図ること,
②「国民の利便性の向上」を図ること,
③負担を不当に免れることや給付を不正に受け取ることを防止するとともに,本当に困っている方にきめ細やかな支援を行うこと(「公正・公平な社会の実現」)
の3点が,マイナンバー制度の導入の理由とされています。
マイナンバーの利用範囲
上記のような理由により,導入されたマイナンバーですが,当面,ⅰ.社会保障,ⅱ.税,ⅲ.災害対策の3つの分野のみで利用されることになっています。
今のところは,税分野においては,確定申告書や源泉徴収票にマイナンバーを追記するだけ(ついでに記載するだけ),社会保障の分野においても,多くの場合既に存在している各種の申請書や届出書にマイナンバーを追記するだけとなっています。
そこで,「行政の効率化」「国民の利便性の向上」といっても,個人にとっては,それほどのメリットは感じられないのではないかと思います。
ただ,今後,マイナンバーは様々な分野で利用されることが予定されています。
例えば,医療とマイナンバーが連動されるようなことがあれば,ある病院で既に治療を受けているのに,他の病院で重ねて不要な治療や薬の投与を受けるといった事態が減るかもしれません。
以上のほかに,将来的には,預金口座とマイナンバーが連動されるということもささやかれています。預金口座がマイナンバーと連動されれば,国による国民の預金口座の把握が進むかもしれません。
雑感
個人的な感想ですが,自由の追求を使命とする弁護士(弁護士法1条)としては,12桁の番号によって,医療情報や財産を把握されるのには抵抗があります。
私を含めて,大多数の方は,「財産を隠して脱税をしよう」「不正に医療サービスを受けよう」などとは思っていないでしょう。
上記の抵抗は,学生時代,これからきちんとやろうと思っていることを先回りして教師に指摘されると,やる気がなくなっていたのと近いものがあるかもしれません。
これから制度がどのように発展していくか,国民ひとりひとりが注意深く見守る必要があるでしょう。
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